2024年08月08日

学生時代から金融教育を学んでおくメリット・デメリットを解説

#金融教材

学生時代から金融教育を学んでおくメリット・デメリットを解説

2022年4月の学習指導要領の改訂により、高校で金融教育が義務化されました。金融教育では金融に係る基礎的な知識やスキルなどを幅広く学ぶことになります。

では、なぜ最近になって金融教育が義務化されるなどフォーカスされているのでしょうか。

この記事では、学生時代から金融教育を受けるべき理由や、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

学生時代から金融教育(金融経済教育)を受けるべき理由

学生時代から金融教育(金融経済教育)を受けるべき理由として、大きく分けて以下の2つがあげられます。

  • 人間形成のサポートにつながる
  • 豊富な社会体験を得られる

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

人間形成のサポートにつながる

1つ目の理由は、人間形成のサポートにつながるからです。最近の子どもたちは、検索エンジンの進化などもあってさまざまな情報に触れられる機会が多く、なんでも答えを簡単に知りたがる傾向にあるといわれています。

金融教育では、金融に関する知識・情報だけでなく、それを踏まえた上で自身の判断や経験を織り込み、総合的に組み立て応用していく力を養います。

さまざまな制約条件がある中で、課題解決に向けて最良の選択をしていく過程で柔軟でたくましい人間形成をサポートすることが可能となるのです。

豊富な社会体験を得られる

2つ目の理由は、豊富な社会体験を得られるからです。金融教育では、体験的な学習が多く織り込まれており、自分の暮らしや生き方と社会との関わりを意識させ、現実の場で活用したり、行動に表したりできるようになります。

生活体験や社会体験が不足しているといわれている今の子どもたちが、体験的な学習を通じて、生活者や社会人として役割を果たすための貴重な機会となるはずです。

学生時代から金融教育を受けるメリット

学生時代から金融教育を学んでおくメリット・デメリットを解説

次に学生時代から金融教育を受けるメリットについて、以下の5点から詳しく見ていきましょう。

  • 金融リテラシーが身につく
  • お金に関する知識を得られる
  • 早期に資産形成を始められる
  • 家計管理ができるようになる
  • 金融トラブルを予防できる

金融リテラシーが身につく

1つ目のメリットは、金融リテラシーが身につくことです。金融リテラシーとは、家計管理や投資などの資産形成、保険、銀行など金融に関する幅広い分野の基本的な概念や手法に関する知識をもち、生活の中で適切に判断する力のことをいいます。

一般的に金融リテラシーは年収や金融資産と相関関係にあり、高い人ほど年収が高く、金融資産が多いといわれています。

子どもたちが将来にわたって自立的で豊かな生活を実現していく上で、金融リテラシーは必要不可欠なものといえます。学生時代から金融教育を行うことは、この金融リテラシーを体系的に習得できる点が大きなメリットといえるでしょう。

お金に関する知識を得られる

2つ目のメリットは、お金に関する知識を得られる点です。近年はクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済が一般化しており、日常的に現金を利用する機会は減りつつあります。

また、親の働く姿を見る機会も減少し給料も手渡しから振り込みに変わったことで、働いて生計を立てているという実感を持ちにくくなっています。

金融教育を通じて、お金に関する知識を得ることで、改めてお金の価値や重みを理解させ、大切に扱う姿勢を身につけさせられる点は、金融教育のメリットといえるでしょう。

早期に資産形成を始められる

3つ目のメリットは、早期に資産形成を始められる点です。金融教育を受けることで、資産形成に関する知識やスキルも若いうちに身につけることができます。正しい金融リテラシーを持っていれば、自ずと自身の将来設計を立て、資産運用などを進めることが可能でしょう。

財政状態の悪化などで、老後を公的年金のみで過ごすことが難しくなりつつある状況で、長期的に豊かな生活を送る基盤となる資産形成は非常に重要な課題です。資産形成は長期的に資産を積み上げていくことが重要であり、若いうちから投資などを始められれば、リスクの許容範囲も大きくリターンも期待できるので有利です。

家計管理ができるようになる

4つ目のメリットは、家計管理ができるようになる点です。社会人になれば、自ずと自分で働いてお金を得て、生活をしていくことになります。このとき、生活設計や家計管理ができていなければ、無駄遣いしてしまい家計が成り立たなくなることも考えられます。

またお金がどれだけ大切なものであるか、働くことの意義などを理解できていなければ、生活力が乏しくなり、生活に必要な収入を確保することすら難しくなるでしょう。

金融教育の中で、家計管理の重要性や手法を学ぶことができ、自分の収入と支出のバランスを取ることができるようになる点も金融教育のメリットです。

金融トラブルを予防できる

5つ目のメリットは、金融トラブルを予防できる点です。悪徳商法や詐欺被害、多重債務といった金融トラブルは、これまでも若年層に多く社会問題となっていました。加えて、2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられたことで、社会人経験の少ない世代でさらに金融トラブルの増加が懸念されています。

金融教育を行うことで、金融商品に関わるリスクを理解し、回避方法や対処方法を学ぶことで、これらの金融トラブルから身を守る能力を身につけられるでしょう。

また、金融教育ではお金が有限であることや、限りある予算の中で必要なものと欲しいものを区別する力を養います。これにより、自分の欲望をコントロールし、無駄遣いなどを抑えることができるようになり、多重債務などの金融トラブルを回避できるようになります。

学生時代から金融教育を受けるデメリット

学生時代から金融教育を学んでおくメリット・デメリットを解説

学生時代から金融教育を受けるメリットは多くありますが、逆にデメリットもあります。ここでは、学生時代から金融教育を受けるデメリットについて、以下の点から詳しく見ていきましょう。

  • 物事に対価を求めてしまう
  • 労働意欲が低下する可能性がある

物事に対価を求めてしまう

1つ目のデメリットは、物事に対価を求めてしまう点です。たとえば働くことの大変さやお金を稼ぐ喜びを学ぶために、仕事をしてお金を稼ぐという体験をさせたとしましょう。

そうすると、行動には対価が発生することを知った子どもがお金を貰わないと何もしないということになってしまうケースがあります。

もちろん社会生活において、対価に関わらず行動すべきことは多くあります。こういったケースでは、仕事として対価を得ることの重要性を伝えると同時に、社会において他者と協力して生きていくことが重要であること、全てがお金という価値に変えられるわけではないことなど、道徳的な教育が不可欠です。

道徳的な教育とお金を稼ぐということを学ぶということをしっかりと線引きをしながら教育していくことが重要でしょう。

労働意欲が低下する可能性がある

2つ目のデメリットは、労働意欲が低下する可能性がある点です。金融教育では、投資に関する教育のカリキュラムが存在します。

投資は将来の資産形成において重要な知識ですが、一方で働かずにお金が増やせると認識してしまう子どももいます。これにより、働かずに効率的にお金を増やすことにばかり意識がいってしまい、労働意欲が低下する可能性がある点は、金融教育のデメリットといえるでしょう。投資によりお金に働かせ、資産形成することは非常に重要です。

しかし、それはあくまで働いて対価を得て、働く楽しみや意義、お金の大切さなどを知った上であるべきです。金融教育においては、そういった本来のお金や労働の価値についても、丁寧に伝えていく必要があるでしょう。

まとめ

学生時代から金融教育を受けることは、自身の生涯設計や資産形成について考え、自立した生計を送るためにも非常に重要です。

また、金融だけに関わらず、金融教育で学ぶ知識や体験を通じて、さまざまな社会体験を得て、人間形成につなげられる点でも有効であるといえるでしょう。

さらに、成年年齢の引き下げ、公的年金の財政悪化などもあり、以前に比べて若年層も金融リテラシーを持っておかなければ、金融トラブルに巻き込まれる可能性も高くなっています。そういった意味でも学生時代から金融教育を受けることは非常に重要だといえます。

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